俺は愚かだから…
スーパーロボット大戦Xより

今回は、僕が好きなゲーム「スーパーロボット大戦」から、
主人公たちのやり取りの中で心理的な関りがあったのでご紹介します。
このゲームの話を簡単にご説明しますと
世界征服を企む悪の軍団に主人公たちが戦って立ち向かっていく話です。
その途中で、戦いに巻き込まれた少女達を助けるのですが、その少女(ナディア)は戦いの中、大切な仲間たちを失くしてしまい、戦いそのものを忌み嫌っています。さらにまだ戦いに巻き込まれることに対しての不安も感じています。
そんな中、主人公達一行は悪の軍団に立ち向かうために仲間を集めようと提案し、行動を開始しようとした中、少女が現れます。
そして少女はこれから戦いに行く主人公たちに反発し、
「そうやってあなたも戦うのね」
と話し、さらに次のように述べます。

彼女自身、戦いで仲間を失った心の傷があり、助けてもらったことに恩は感じているかもしれないが、自分が忌み嫌う戦いに、自ら向かおうとする主人公達に対して厳しく接してしまいます。
そんな彼女に対して、戦わなければ世界は征服されてしまうなど、戦いを肯定しようとしてもおそらく彼女の心には届かないでしょう。かといって、彼女に合わせて戦いを否定しても、結果的には闘わなければならないため、彼女をより傷つけるだけになります。
このように、肯定しても、否定しても上手くいかないことを
ダブルバインド理論(二重拘束)と言います。
ではどのように彼女と関わるといいのか考えてみましょう。
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この物語では、この後に青年(ショウ)が見事な関り方をしています。
まず、彼(ショウ)は一言
「…そうかもな」
と彼女の言葉を受け止めます。
その時、「えっ…」と彼女は素直に受け止めた彼に驚きます。
そして、彼は次のように述べました。


この後、彼女は何も言えなくなり、その場を立ち去ります。
年頃の女の子の扱いに難しさを感じるも、周りの人達は、彼の誠実な答えに納得しました。
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さて、心理の世界から観察させてもらうと彼がしたアプローチ(関わり方)は
・ワンダウンポジション
といいます。もちろん彼が意図してしたかは分かりませんが。
まず最初に「俺は愚かだから、それしか方法を知らないんだ」と
自分が「愚かである」ことを伝えることで、彼女の立場を立てて、自分を下げています。
そうすることで、彼女の戦いを忌み嫌うことへの正当性が周りに伝わりやすくなります。
そしてそこから、「他にいいやり方を見つけたら教えてほしい」と
戦いを忌み嫌う彼女だからこそ、戦い以外の方法を見つけることができる可能性を示しています。
そして、さらに「教えてほしい」と伝えることで、自分の立場をもう一度下げています。
最後に「イヤミでも冗談でもなく、本気でそう思う」という言葉は彼自身の気持ちそのものであり、
今までのやり取りから上から目線にならないようになっています。
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このように、周りはみんな闘わなければならない状況を納得している中、彼女だけが否定している場面だと、彼女の立場の方が明らかに下になってしまいます。
しかし、その立場をあえて自分が下げることによって、彼女の言い分が受け入れられる状況を作り出しています。
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対話の場面では、今回のように言葉だけではなく、それぞれの立場を変えることで、言葉はより強さが増したり、相手を納得させやすくなることはよくあります。
誰かと話すときや相談をする、またはされた時などで対話が進まなかったり、上手くいかなかった時、この立場(ポジション)を意識して、わざと下げる(ワンダウン)をしてみると、新たな対話が生まれるかもしれません。
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