『不完了』に苦しむ

心理の講座で最近学んだ中に、トラウマについてまつわることで、このようなことが挙げられた。
「自分の中にある事実できれいに成立しない」
自分の中にあるというのが特に大きい。
自分自身の経験で思い出されるのは、退職についてだった。表向きには新しいことをするためにや、よくある一身上の都合としていたが、実際にはそれだけではない。そこに至るまでの経過もあるが、その部分は特に表に出すこともなく、退職という現実が進み、事実となっていった。

このような話は身近にたくさんあると思うが、これが時には厄介なものとして現れてくる。

問題なくその後も過ごせればよかったが、収入面や本当の意味で次に進む(やりたいこと)が見つからないなど、何かしら自分が不安と感じる問題が出てきた時にやってきた。
何で自分が、あの時こうしていれば、覆しようのない過去が襲ってきて、ただただ嫌になる。
この時に自分ではないものを責めて、ムリヤリ成立させていた。
しかし退職という事実はこの時は自分にとっては本当の意味で成立していなかった。

この不完了は災害や環境など自分ではどうしようもないことでも起きやすい。
そして漫画の中でもよく起きている事に気づく。
特に人間から異なる存在に変わる時や主人公と敵対している存在が多い。

その話の中で例に挙げるとしたら最近読んでいるダンダダンという漫画である。
この漫画は幽霊や妖怪といったオカルト的存在と宇宙人というSF的存在のどちらも主人公達の脅威として現れる。怪談とSFが混じっているが上手く組み合わされており、ストーリーや戦い方などもとても面白い。
その中でアクロバティックさらさらという妖怪が出てくるが、元は一人娘のシングルマザーだった。
裕福ではなかったが、娘に愛情を注ぎ時折バレエを教えていた。しかしある時に借金のかたに娘を連れていかれ、娘を不幸にした母親という自責だけが残り、死後に妖怪となった。
このアクロバティックさらさらの場合は、娘を守れなかった事実がきれいに成立するわけがなく、その事実をムリヤリに成立させるために母親である自分を責める結果となった。
妖怪となったアクロバティックさらさらは自分を見える子ども(アイラ)に出会い、お母さんと間違えられる。その時自分をお母さんと呼んでくれたアイラを守ろうと決心する。しかし、結果としては自分の感情をコントロールできずにアイラを傷つけてしまう。そんな自分はただの化け物になったから、せめて最後に自分を犠牲にしてアイラを助けようとする。その反動で自分の存在が消滅してしまってでも…

ならばこの「不完了」は「不」完了のままなのだろうか
次にその続きをお話しします

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