『楽な方法じゃなくて、今後役立つ方法を選んだんです』『それって、自分達の事を考えてくれてるからじゃないですか?』 日本技術と心理学 -自己組織化とは-

相談するというのは、アドバイスをもらう、手を貸してもらうとった「何かをもらう、してもらう」といったイメージが大きい。
心理相談と言っても、悩みに対しての解決方法が欲しいことがほとんどである。
それが相手からのニーズでもあり、答えることで満足感を得てもらえるのだから、特に問題がない。ようにも思われる。
なので、色んな心理療法があるけれど相談に来た人へ「何かを与える、または一緒にする」を優先的に考えることが多い。
一緒にいる間は問題ないのだが、その後のことを考えるとどうだろう。離れた後にまた元に戻ったら結局は変わらない。
心理相談でよくある不満は
「話を聴いてもらっただけ」
「何も変わっていない」
「○○をさせられた」
といったものを耳が痛くなるくらい聞いてきた。
これは総合的に根本は「変わっていない」なのだろう。

そのようなこともあってか、最近心理の世界でも考え方が変わってきた部分がある。以前はどのように相手を変えていくかが多かったが、そのかわりに『相手の自然回復や成長を軽視していること』が浮き彫りになってきた。つまり、相談している人自身の力を悪く言えば信用していないことにもつながる。
なので、相手の自分自身の力で回復していき、成長していくことを邪魔せず、手伝っていくことが大切になっている。この自然回復や自己成長の事を『自己組織化』という。
そして自己組織化の考え方は実は日本技術にしっかりと組み込まれている。

今回は分かりやすく説明するために、ケニアにある日本技術で作られた砂ダムについてのお話である。

ケニアのある辺境の村には雨季以外は水がなく、5キロほど離れた川で水くみするのが当たり前だった。その村にある日本人が研究のために尋ねてきて、しばらく世話をしてほしいと頼む。村人は観光気分で来たのだとその日本人を毛嫌いしていた。なれない生活に日本人は苦労していたが、ある日、ある企業が村にダムを作る話を持ってくるがメリットがないと言われて、馬鹿にされてしまう。

「結局、僕達のことなんか誰も…」

村人は絶望していたがその話を聞いた日本人が、自分がダムを作ると話す。日本人の正体はNGO団体で彼はここで生活したうえで考えた砂ダムを提案する。しかし砂にまみれたダムの案は村人は馬鹿にされていると怒った上に、さらに日本人はその砂ダムを村人達で作るように指示をした。初めは村人ほとんどが信用せず、参加者もわずかだった。しかし、一生懸命、砂ダムを作ろうとしている日本人とその周りの村人に感化され、徐々に仲間が増えていく。
ダムを作りながら、初めはなぜ自分達でダムを作るようにしたのか分からなかったが、参加した村人はこう考えた。

ダムの作り方を覚えさせるため、そうすれば日本人がいなくなっても自分達で作ることができる。

『楽な方法じゃなくて、今後役立つ方法を選んだんです』
『それって、自分達の事を考えてくれてるからじゃないですか?』

最初は信用してなかったが、ボロボロになりながらも、砂ダム作成の手伝いをしていた日本人を見かねて、手伝うようになった村人。
そしていよいよ砂ダムは完成した。
この砂ダムは雨季に合わせて水をためておけることや、砂に水をためることでろ過されてきれいな水が飲めるなど、この村のために考え抜いたダムだった。
完成して村は潤い、なにより
『自分達が一体となってこの立派なダムを作った』その経験を得たこと。この経験は今後の生活にも大きく影響するようになったのだ。

この村に資金を提供して、人任せに得意の技術でダムを作るのはある意味、楽だろう。自分達の思い通りに作れて、村人も何もしなくて済むしニーズにもあっている。しかし、その後を考えるとどうだろうか。ダムに不具合が生じた時や決壊した時など、作るだけ作ってさよならも十分考えられる。
しかし、自分達で作ったのなら、不具合が起きても、何が原因なのかもわかり、決壊などのトラブルにも対応でき、さらに新しく別のダムも作ることができる。

最初に話した「何かを与える」は前者であり、「自己組織化」は後者に当たる。この自己組織化を作っていくヒントとしては、今回の話で出てきた、

『相手のことを知ったうえで、相手だけでどのように回復、成長していくかを考える』
『自分がいなくても大丈夫な状況を作り上げる』

そのために何ができるのか。これはそのつど考えていくことがまず大事である。
ちなみに砂ダム以外にも、日本人が舗装した道路についてもあります。二つの動画について、見ていただけるとより分かりやすいと思います。

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